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ハサミをキるそらべるの夢

私がみた夢をもとに短い小説を書きます。

墓場

 

 校門から入ると、曇り空がいっそう灰色に感じられた。

 

 地元の中学校跡、そのグラウンドには小さな祠が等間隔に並んでいる。

 

 祠と言うより、祠に似せた置物に過ぎない。余った木材で適当に作られており、大きさもバランスもそれぞれ違っている。穴が空いているものも見受けられる。どれもこれも強い風が吹いたら壊れてしまいそうだ。

 

 まるで子どもが造ったみたいだな。僕はそう感じた。

 

 僕はそのうちの一つに近寄る。そのぼろぼろの祠には、そこに相応しい、みすぼらしい大きくて不恰好な水色の折鶴が置いてある。その首の部分をよく見ると、

 

   エスミナツコ

 

とマジックで書かれていた。丁寧に書く気もない汚い字だった。

 

 彼女は高校の同級生だった。特に仲が良かったわけでもない。ときどき勉強を教えたりしていたくらいだ。

 

 僕は手も合わせず、ただ無感情にその名前をしばらく見ていた。お供え物もなにもなかった。

 

 どういった人間がどういった理由でこんな墓に入るのかは知らない。彼女がどういう家柄で、どんな生活をしていたのかも知らない。

 

 どういう人間がどういう理由でこんな墓を造ったのかも知らない。

 

 ただ、僕はふと、ここの墓を一つ残らず壊してしまおうかと思った。

 

 でも僕はそんなことはせず、そこを離れた。もう来ることはないだろう。

 

 校門を出るとき、最近また同級生が死んだのではなかったのかと灰色の空を見ながら思った。